治験の目的
遺伝子は、体にたんぱく質の作り方を指示します。多くの種類のがんは、特定の遺伝子に異常が生じる遺伝子変異によって引き起こされます。研究者たちは、KRAS G12D変異によって作られる異常なたんぱく質の作用を止める方法を探索しています。KRAS遺伝子のG12D変異は、特定の固形がんの患者さんによくみられます。
ASP3082は、KRAS遺伝子にG12D変異を有する固形がんの患者さんのための新しい治療薬となる可能性があります。ASP3082が治療薬として使用できるようになる前に、研究者はこの治療薬が体内でどのような過程を経て作用するかを理解する必要があります。本治験の結果に基づいて、適切な用量を決定し、この治療が原因となって起こる潜在的な安全性情報について確認します。
参加対象者
この治験に参加できるのは、KRAS遺伝子にG12D変異を有する局所進行性、切除不能または転移性固形がんの成人の患者さんです。局所進行性とは、がんが周囲の組織に広がっていることを意味します。切除不能とは、がんを手術で取り除くことができないことを意味します。転移性とは、がんが体の他の部分に広がっていることを意味します。がん細胞が脳や脊髄を覆う薄い組織に転移している場合(軟膜播種)、脳もしくは神経系にがんの症状がある場合、または最近治療を必要とするほかのがんを患ったことがある場合、この試験に参加できません。
ASP3082とNab-P+GEM(ナブパクリタキセル+ゲムシタビン)またはFOLFIRINOX(ロイコボリン[LV]/フルオロウラシル[5-FU]/イリノテカン/オキサリプラチン)の併用療法:化学療法歴のない転移性PDACを有する治験参加者。術前または術後補助化学療法を受けている場合は、最後の術前または術後補助化学療法完了後少なくとも6カ月以上後に腫瘍再発または病勢進行が発現していること。
治験で実施されること
この治験は非盲検試験です。つまり、この治験に参加する患者さんがASP3082を投与されることを、患者さん自身や医療スタッフが知っている状態で治験が進められます。この治験は2つのパートから構成されています。
パート1では、少人数の患者さんからなる異なるグループに、低い用量から高い用量のASP3082を単独、またはセツキシマブと一緒に投与します。それぞれの用量で起こったすべての医学的に好ましくない反応を記録します。パート1は、パート2でASP3082を単独、またはセツキシマブと一緒に投与する場合の適切な用量を見つけるために行われます。最初のグループには、最も低い用量のASP3082が投与されます。医学専門委員会が、このグループの結果を確認して、次のグループにより高い用量のASP3082を投与できるかどうかを決めます。すべてのグループでASP3082(単独またはセツキシマブと一緒)の投与が終了するまで、またはパート2で使う適切な用量が決まるまで、医学専門委員会は各グループに対して同様の確認を行います。
パート2では、別の少人数の患者さんからなる異なるグループに、ASP3082を単独、またはASP3082とセツキシマブ、またはASP3082と異なる種類の化学療法、またはASP3082とペムブロリズマブ、またはASP3082と化学療法およびペムブロリズマブと併用して投与します。パート1で特定されたASP3082の最適な用量が使用されます。
治験治療は、点滴で静脈から投与されます。これを静注と言います。1つの治療サイクルは21または28日間です。治験参加者は、
- 治療による許容できない程度の医学的に好ましくない反応が確認される、
- がんが進行する、
- 他のがん治療を開始する、
- または患者さんが治験の中止を希望するまで、治療を続けます。
治療を受けている間に、患者さんには決められた日に来院していただきます。また、最初の2サイクルの間は更に追加で来院していただきます。来院では、身体検査を受けていただきます。腫瘍検体は、治療中の既定の来院時と治療終了後に採取されます。
また、治療を中止した直後の時点にも、身体検査のために来院していただきます。その後は、2ヵ月に1回の頻度で引き続き身体検査を受けていただき、がんの状態を確認します。患者さんには、治療が終了してから45週後まで、またはがんが進行する、他のがん治療を開始する、若しくは患者さんが治験の中止を希望するまで、来院を継続していただきます。
試験の概要
主なねらい(主たる目的)
- ASP3082を単独で使用した場合と、他の試験治療と一緒に使用した場合のASP3082の安全性と、治療がどの程度耐えられるものかを調べること。
- ASP3082を単独で使用した場合と、他の試験治療と一緒に使用した場合のASP3082の適切な用量を見つけること。
その他のねらい(副次的な目的)
- ASP3082がどのように体の中で代謝されるか(薬物動態またはPK)を調べること。
- ASP3082のがんの抑制効果を調べること。
これらの目的を達成する方法(評価項目)
- 治験期間中、ASP3082の投与後にみられた医学的に好ましくない反応を記録します(ASP3082によって引き起こされたかどうかに関係なく)。医学的に好ましくない反応の例には、臨床検査や身体検査、心電図などの異常な結果が挙げられます。
- ASP3082によって引き起こされた可能性のある医学的に好ましくない反応や検査の異常値が、治療薬の用量の増量を止めるべきと判断するのに相応しいほど重度かどうかを確認します。
- ASP3082の血中濃度を一定の期間確認し、薬剤が血中に到達し、体中に分布され、排泄されるまでのそれぞれの過程の時間を調べます。また、ASP3082が体に分解されるかどうかも確認します。
- 画像検査を行い、ASP3082を使った治療後、腫瘍が時間とともに小さくなったか、あるいは消失したかどうかを調べます。
- 組織検体中のKRAS G12Dのタンパク質の濃度の変化を調べます。
詳しい情報の入手
治療歴のある成人の固形がん患者さんを対象としたASP3082の試験の参加者を募集している治験実施医療機関について詳細情報をご希望ですか?右側のフォームに必要事項を入力の上お問合せください。担当者が対応いたします。
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よくあるご質問
一部の臨床試験は進行がんを対象としていますが、さまざまな病期の患者さんが参加できる臨床試験も数多くあります。それぞれの試験には一定の参加条件があります。たとえば特定の年齢層や腫瘍の種類の患者さんだけが参加できる場合もあります。
臨床試験によっては、現在受けている治療を続けたまま参加できる場合もあれば、一時的に中止しなければならない場合もあります。もし治験薬で効果がみられなかった場合でも、通常は元の治療を再開することができます。
がんの臨床試験でプラセボが使われるのは、特定のがんに利用できる治療が存在しない場合に限られ、治験薬とプラセボを比較するためにだけ使用されます。ただし、がんの臨床試験でプラセボが使われることはまれで、多くの場合は「標準治療」と呼ばれる最も有効とされる治療が提供されます。
担当医が、あなたに利用可能な臨床試験の機会をすべて把握していない場合があります。気になる臨床試験があった場合は、ぜひ担当医や他の医療提供者にご相談ください。あなたに合った臨床試験かどうかを、一緒に判断することができます。このウェブサイトで選択肢が見つからない場合は、公的な治験情報登録サイト(例: ClinicalTrials.gov )をご覧になり、現在募集中の臨床試験を探してみることをお勧めいたします。


